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数値予報の話




 「数値予報」という言葉を聞いてどのようなイメージを持ちますか?データをガチャガチャと入れたら「アスノテンキハ,ハレ,トキドキ,クモリ」とコンピュータが答えるというイメージでしょうか?

 実は数値予報といっても,「晴れ」「雨」といった天気そのものを予想するのではなく,未来の大気の状態,つまり低気圧は高気圧の移動・発生・消滅を予想するものです。これを行うためには,下のような物理方程式を使います。

運動方程式


 これは,水平方向の運動方程式の一つで,ある地点の水平風の時間変化を求める式ですが,この方程式は中学校などで習うX=・・・という形には解けません。そこで,次のような方法を採ります。まず,地球上の大気の中に下のような格子を考えます。

格子


 ゾンデ観測などで得られたデータから,この全ての格子点上でのデータを求め,その値を上の方程式に直接当てはめることによって,ごく短い先の大気の状態が計算することが出来ます。あとは,次々と計算していけば,将来の大気の状態が計算できるというわけです。

 実はこの手法は1920年代にはリチャードソンという学者によって考えられていて、実際に計算が行われたのですが、計算手法の間違いにより、数時間で100hPaもの気圧の変化が現れて挫折してしまいました。これを「リチャードソンの夢」といいます。

第2次大戦後、海外で再び研究が進み、日本では1959年にIBMのコンピュータが気象庁に導入され、現在では世界的にもレベルの高い数値予報を行っています。

 それでは実際の数値予報結果を見てみましょう。 下の図は1999年1月6日00UTC(日本時間午前9時)の天気図です。

イニシャル


 この時刻を初期値として,将来の大気の状態を計算した結果が下の図です。これは地上天気図ですが,もちろん,地上だけではなく高層まで全部計算されています。

イニシャル
1999年1月6日UTC初期値の12時間予想図(左)24時間予想図(右)


イニシャル
1999年1月6日UTC初期値の36時間予想図(左)48時間予想図(右)


 いかがですか?低気圧が発達しながら北日本を通り,次第に冬型の気圧配置に変わっていくのが良く分かりますね。

 それでは,実際の48時間後の天気図(1月8日00UTC)の天気図を見てみましょう。

48時間予想


 ちゃんと予想できている部分とそうでない部分があるのが良く分かると思います。
 例えば,数値予報では北海道の北東に低気圧(赤い矢印で指したもの)を一つ予想していますが,実際にはその付近には二つの低気圧があり,その南にももう一つ低気圧があると解析しています。

 予報官はこれらの資料を見て,気圧配置がどう変わるかを把握し,その気圧配置に実際になった場合,自分の担当予報区域の天気がどう変わるかを予想する,というのが現在の天気予報の方法です。

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