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天気図の話



 
 中学の理科第2分野で描くことになっているラジオ気象通報を聞いて描く天気図がありますね。これに使われる記号は下記のように決められていますが,たとえば霧の天気記号は黒丸の右下にカタカナの「キ」を書くことなどから分かるように,日本国内だけで通用する「国内式」です。風速は風力を示しています。

国内式


 一方,プロの予報官達は「国際式」を使っています。
 「国際式」とは国際気象通報式に則って通報された現在天気,風向風速(ノット単位),気圧だけでなく,気温,露点,気圧変化傾向,視程,下層雲量,下層・中層・上層の雲形,過去天気まで分かるようなプロットを使用します。
 下の図がプロットする要素とその位置を示します。

国際式


 現在天気(ww)の記号はこんなにあります。

現在天気


 ちょっと難しそうに見えるかもしれませんが,代表的なものをいくつか抜き出してみました。

代表的な天気


 雨や雪のマークは国内式とほぼ同じですね。霧雨や雷は国内式とかなり違いますが,何となく雰囲気が出ていると思いませんか?雷の稲光を模した矢印は良く感じが出ていますね。雨や雪などのマークが多いほど,雨や雪が強く降っていることを表します。また,雨と雪を重ねてかけば「みぞれ」です。雨や雪のマークの下に逆二等辺三角形を書くと,それは驟雨性の降水(対流性の雲(積雲など)から降っている)である事を示します。

 また,雲の種類の記号や全雲量,気圧変化傾向の記号はこのようになっています。ここで使われている雲の種類の番号は,「雲の状態種類表」に示されている番号のことです。積雲や巻雲はその雲の形そのものを記号化しているのが分かりますね。

雲の種類


 現在,気象庁予報課では,東経80度〜西経160度,赤道〜北緯70度付近の非常に広い範囲に渡る天気図を描いており,これを「アジア太平洋天気図」といいます。この天気図は,日本時間の3時,9時,15時,21時に描かれます。

 この時刻は,世界標準時の18時,0時,6時,12時にあたり,世界中の気象台や測候所で一斉に観測を行っています。大気に国境はありませんから,世界中が一斉に観測を行う必要があるわけですね。

 世界標準時の0時は日本時間の9時にあたり,ちょうど朝出勤してからお茶を飲んで(^_^;)一服したら観測時刻ですが,そういう理由で決めたわけではもちろんありません。

 皆さんも,どうせ観測をするのであれば,8時とか10時ではなく,世界中の観測と同じ日本時間の9時にやりましょう。

 それでは実際に天気図を描く作業はどうやるのでしょう。

 まず,数値予報によりその時刻の客観解析が求められており,これが下敷きとなります。また,気象衛星写真もインポーズされています。ディスプレイ上には国際式でプロットされたデータも表示されていますが,ディスプレイが小さいので,このままで全てのデータが見られるわけではありません。

客観解析
上の図をクリックすると1280×1024(303kb)の大きさの画像が見られます


 そこで,例えば解析しようとする低気圧の付近を拡大し,更にその時刻のプロットだけでなく,6時間前に描かれた天気図(図の緑の実線),数値予報により求められた850hPaの相当温位(青い破線),30hPaのジェット軸(矢印の付いた緑の実線)などをワークステーション上で重ねあわせ,予報官がマウスを使って解析します(黄色い線は予報官が描いた仮の前線)。

拡大図
上の図をクリックすると1280×1024(281kb)の大きさの画像が見られます


 このように全ての低気圧や高気圧などの解析を終えたものが,下の図です。

完成図
上の図をクリックすると1280×1024(331kb)の大きさの画像が見られます


 天気図は単なる等値線図ではなく,低気圧や高気圧の立体構造を理解した上で,そこに起きている現象が天気図を見れば分かるように描かなくてはいけません。

 客観解析では,低気圧の中心付近が浅めに解析される傾向があったり,疑わしい船舶のデータを除くことができないため,いまだに予報官が解析する必要があります。

 皆さんが普段聞くラジオ気象通報の低気圧や前線の位置は,このようにして解析して決めた低気圧や前線の位置をワークステーション上で読み取り文章化(自動的に)したものです。

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