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台風の中心気圧の決定



   テレビを見ていると、台風がはるか南海上にあるうちから「台風○号は○○の南約○○キロ、中心気圧は9○○ヘクトパスカル・・・」と伝えますね。でも、台風の中心付近に観測点がちょうどあるということはまれです。それでは、どのようにして台風の中心気圧を決めているのでしょう?
 終戦直前からアメリカ軍では航空機により台風観測を行っており、これは、昭和62年の台風11号まで続けられました。しかし、現在ではその観測も行われていません。

 実は、台風の中心気圧は気象衛星画像から求められます。
 と言っても、気象衛星に気圧の分かるセンサーがついているわけではもちろんありま せん。

 台風の雲の形や雲頂高度は、台風の中心付近の風の強さや対流雲の発達程度、ひいては台風の中心気圧に大きく関係しています。このことから、台風付近の雲の形を調べることにより台風の中心気圧を調べることができます。これをこの方法を開発した人の名前からドボラック(Dvorak)法と言います。

 ドボラック法では、台風の雲域の特徴を数量化した台風強度指数(CI数)というものを求めますが、その前に、T数を求めます。

PT数(Pattern Tropical Number)
 簡単に言うと、過去の雲パターンと中心気圧の関係を求めておき、現在の雲パターンから現在の強度を推定するというものです。

PT
VIS画像による雲パターンとT数の対応図

 ざっと見ると、中心付近の雲が発達しているほど、眼がはっきりしているほどPT数が大きいことが分かります。

DT数(Data Tropical Number)
 PT数をもっと客観的に行う方法です。例えば、台風の眼がはっきりとしている「眼パターン」のときには、

T数が大きい事になります。

 そのほかには、「湾曲したバンドパターン」のときには「バンドの回転が長いほど」、「シアーパターン」のときには「下層の回転中心と濃密雲域の縁との距離が近いほど」T数は大きくなります。

MET数(Model Expected Tropical Number)
 台風の強さに関係なく、「台風が発達・衰弱するときには1日に1.0ずつT数が変化する」という性質を利用して求められるT数です。いわゆる単純外挿に似た手法で、発達の程度によって±0.5の加減が行われます。

 このように求められた三つのT数から、次のようにT数が決められます。

 求められたT数とCI数には次のような関係があります。

 これは、雲パターンが衰弱の傾向に入っても、直ぐには台風が弱まるわけではないと言う性質があるためです。

 さて、台風強度指数が求まりましたので、いよいよ台風の中心気圧の決定です。

CI-Ps

 これは、CIと台風の中心気圧の関係を示したグラフです。これにより、台風の中心気圧が求められます。
 もちろん、これは、ドボラック法だけで決定した中心気圧ですから、最終的に気象庁が台風の中心気圧を決める際には、台風の中心付近の船舶や陸上の観測データも利用します。


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