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3月 にんじん状雲


 アジア太平洋域赤外画像を見てください。季節は変わって、日本付近を次々と低気圧が通っていきます。特に3月下旬になると、日本の南岸を低気圧が通って、雨の日が多くなっているのが分かります(ちょうど今年(1999年)の3月もそうだったように)。

 日本付近からちょっと右下に目を移して、北緯20度東経150度付近を見てください。

 3月27日にぽつんと現れた真っ白な雲はくさび状に形を変え、何と風下側にではなく風上側に移動しているように見えます。

 この雲はその形からTapering Cloud(taper:先細り、錐状)(テイパーリングクラウド)、日本語では「にんじん状雲」と呼ばれ、発達した積乱雲でできています。ここでは下層に非常に暖かく湿った空気が流れ込んでおり、この雲は大気の状態が不安定となっていることを示す指標となります。

 何故このような形になるかというと、積乱雲が発生した後、風に流されながら発達し、ついには圏界面に達して広がるため(横から見るとこれがかなとこ雲になります)です。
 風上側に移動しているように見えるのは、雲そのものが風上に移動しているわけではなく、雲の発生点が風上に遡っているためです。

 この雲の下では非常に強い雨が降るだけでなく、強い上昇気流のために竜巻が起きたり、ダウンバーストなどの突風による災害が起きることがあります。

SURFACE MAP


これは、3月29日0時(UTC)の天気図です。九州付近に低気圧があり、そこから寒冷前線が東シナ海に伸びています。

CLOUD MAP


これはその約30分後の可視画像です。寒冷前線に伴って白い雲の帯があり、その中にちょっと見ずらいですが、同じような「にんじん状雲」が発生しているのが分かります。

850hPa MAP


 ちょっと見慣れない天気図かもしれませんが、これは、850hPaの高層天気図です。約1500m上空と考えて下さい。ハッチの部分は湿度が高いことを示します。ちょうど沖縄付近は、その領域の中に入っていますね。それから、風向・風速を示す矢羽根を見て下さい。長い矢羽根1本は10ノットですから、沖縄付近は45ノット(約23m/s)もの強い南西の風が吹いていることが分かります。

ちょうどこの日のお昼ころにかけて、このにんじん状雲が沖縄本島を通過しましたが、この時、この雲の下で竜巻が発生し沖縄本島南部を通過し、車が飛ばされるなどの被害がありました。

 昨年(1998年)の新潟豪雨の時にもこの雲が現れ、ほとんど移動しなかったために、強雨が長時間続き大きな災害をもたらしました。

 この雲は地形によって発生することもありますが、海上の島の無いところでも発生して停滞することもあり、そのメカニズムの解明が待たれるところです。


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