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4月 水蒸気画像


 今月は、「水蒸気画像」を見てみましょう。

 水蒸気画像は前にも書きましたとおり、難しい理屈は置いておいて、雲ではなく、中・上層の水蒸気を見ているのだと理解して下さい。
 この画像の良いところは、雲がなくても水蒸気があれば白く見えますので、雲のないところの空気の流れが分かるということです。

 さて、4月の水蒸気画像を見てみましょう。テープでは1時間2分16秒ころが4月1日です。

 まるで水に墨か絵の具を流したように見えますね。
 真っ白なところが水蒸気の多いところ、暗いところは乾いているところです。
しばらく見ていると4月7日前後に非常に特徴的な領域が日本付近を覆います。

GMS040712UTC
1997年4月7日12UTC 水蒸気画像

 真っ白な雲の帯の後ろ側に、真っ黒な袋状の領域が現れました。中心は少し白く回転しています。 真っ白な雲の帯は前線に対応し、真っ黒な領域は冷たく乾いた上空の寒冷低気圧(アッパー・コールド・ロー)です。地上の低気圧の中心と、上空(500hPa)の天気図を見ると、低気圧の中心はほとんど同じ場所にあり(軸が真っ直ぐ立っている)、低気圧の中心付近は寒気で覆われているのがわかります。

SURFACE MAP
1997年4月7日12UTC 地上天気図

500hPa MAP
1997年4月7日12UTC 500hPa天気図
(赤い線は−18度の等温線:八丈島の上空は−22.5度)

 上層から下層まで温度が低いため、大気の状態は安定ですが、晴れて気温が上がると大気の状態が不安定となり、雷雨となることもあります。特に、南東象限では下層の暖気が入りやすく、危険です。

 寒冷低気圧が通り過ぎると、北緯30度付近に非常に強い流れがあるのが分かります。これがジェット気流です。水蒸気画像でやや暗い部分と明るい部分の境界付近が最もジェット気流の強いところです。

GMS041206UTC
1997年4月12日06UTC 水蒸気画像

 上空で風が強いということは、その下では温度傾度が急だという事になりますので、前線が発生しやすくなります。
 台風1号も前線にぶつかって、温帯低気圧に変わって東に流れていきました。

 水蒸気画像を良く見ると、北緯30度付近よりも北でも明るい部分と暗い部分の境界線のはっきりした所があるのが分かります。ここにもジェット気流が流れています。

300hPa MAP
1997年4月12日12UTC 300hPa天気図
(緑の線は20kt毎の等風速線:紫の線が強風軸(ジェットに対応))

 最も南の北緯30度付近に流れるジェット気流を「亜熱帯ジェット」、北の方を流れるジェット気流を「寒帯ジェット」と呼ぶこともあります。


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